相続登記を自分でする場合のメリット・デメリットについてのQ&A

文責:所長 弁護士 白方太郎

最終更新日:2024年09月06日

Q相続登記を自分でする場合のメリットは何でしょうか?

A

 実費のみで相続登記を行うことができます。

 相続登記を弁護士や司法書士に依頼すれば、当然、その専門家にお支払いする報酬が生じてしまいます。

 相続登記を専門家にご依頼する場合には、不動産の数や相続の事情にもより前後するため、明確な基準はありませんが、一般的な自宅を相続登記する場合、おおよそ5万円から30万円ほどの報酬をお支払いする必要が生じます。

 自分で行えば、当然そうした、費用は掛かりませんので、自分で行う上での1番のメリットとなります。

Q相続登記を自分で行う場合の金銭面でのデメリットは何でしょうか?

A

 本来免除されるはずの、登録免許税を負担しなければならない可能性があります。

 相続登記をする際には、その不動産の評価額に応じて登録免許税を支払う必要があります。

 その登録免許税は一定の要件を満たした場合は、免除される場合があります。

 しかしながら、このような免除措置について利用する場合には、申告書の内容に追加での記載しなければならないことがあったり、そもそも免税措置の存在に気づかないということもありえます。

 登録免許税は不動産によっては高額にある可能性があるものなので、こうした登録免許税を取りこぼすと、せっかく専門家を利用しないで生じなかった専門家への報酬分以上に費用の負担が大きくなるということもありえます。

Q相続登記を自分で行う場合の金銭面以外のデメリットはあるのでしょうか?

A

 相続登記には必要な資料が多くありますが、それらをすべて自分で用意する必要があります。

⑴ 相続の内容を示す資料について

 相続登記をするためには相続の内容を示す資料が必要になります。

 遺言書があればそれを添付すれば足りる場合がほとんどですが、遺産分割協議を行った場合、相続登記を申請する際に登記所へ遺産分割協議内容を示す遺産分割協議書を提出する必要があります。

 その遺産分割協議書において相続登記をするために必要な文言などを欠いてしまうと相続登記をすることができなくなってしまう可能性があります(遺言書がある場合も、必要な文言を欠いている場合は改めて遺産分割協議をする必要が生じる場合があります)。

 このとき、日常用語と登記に必要な文言にずれ生じる場合がありますので、自分では大丈夫と思っていても、やり直す必要が生じてしまう場合があります。

 そのため、相続登記をする場合に書面を作成する場合は、初めから相続に詳しい専門家を利用した方が失敗するリスクを減らすことができます。

 

⑵ 手続き上の負担

 次に、必要書類を集めたり、申請時に提出したりする上での負担を減らすことができます。

 相続登記申請時に必要な書類には、戸籍や住民票、固定資産税評価証明書などがあり、これらは各管轄の市区町村において入手することができます。

 しかし、多くの場合、市区町村は土日祝日を休みとしており、入手するには原則平日に入手するしかありません(一部例外的に土日に開庁する場合もありますが、多くの場合は限定的です)。

 参考リンク:千葉市・休日開庁日のご案内

 そして、相続登記申請先の法務局も同じく基本的に土日祝日は休みとなっていますので、基本的に、休日に申請を行うしかありません。

 参考リンク:千葉地方法務局(本庁)

 そのため、専門家等を利用しない場合は、基本的に自分で時間を作り、書類を収集し、申告も行う必要があります。

 郵送等を利用することも可能ですが、修正する必要が生じる場合の連絡なども基本的に平日ですので、それへの対応も専門家を利用しない場合は自分で対応しなければなりませんので、大きなデメリットといえます。

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