相続登記の登録免許税の計算方法

文責:所長 弁護士 白方太郎

最終更新日:2024年07月19日

1 「課税価格」の調査と修正

 ⑴ 相続登記を行う不動産の「評価額」又は「価格」を調査します。

 この価格は、固定資産課税明細書や各市町村より固定資産税課税通知書(固定資産税評価証明書)を取得することにより、調査することができます。

 その際には、各書面には様々な情報が同時に記載されている場合がありますが、よく似た「固定資産税課税標準額」と混同しないようにご注意ください。

 また、固定資産課税台帳に価格が登録されていない場合は、その不動産を管轄する登記官が認定した価額とする場合がありますので、各管轄の法務局へお問合せください。

 ⑵ 仮に、登録免許税を調査する不動産が、亡くなった方(被相続人)の単独ではなく、複数人による共有となっている場合もあります。

 その場合は、その持分を「評価額」にかけた額を計算に使用します。

 ⑶ そして、⑴⑵によって計算された価額について、1の位まで細かく計算されている場合もありますが、1000円未満の額が切り捨てます(1000円に満たない場合は、「1000円」とします。)。

 こうして計算された価格が、「課税価格」となります。

 ⑷ 複数の不動産について申請する場合は、固定資産税評価額を合計たうえで、1000円未満を切り捨てにして、課税価格を出します。

2 課税価格に登録免許税率をかけて、修正する

 ⑴ 前記1によって計算された課税価格に登録免許税率をかけます。

 登録免許税率は、その登記の原因によって異なり、相続の場合は、1000分の4(0.4%)となります。

 注意しなければならないのは、遺贈(この場合は、遺言書により財産を相続人以外に譲ること)の場合は、登録免許税率が「2%」となる場合があるということです。

 参考リンク:国税庁・登録免許税の税額表

 相続人に対する遺贈であれば、「0.4%」となりますが、登記の申請時に求められる資料が、他の相続の場合と異なる場合もありますので、やはり、遺言書を根拠とした相続登記申告の際には注意が必要です。

 ⑵ そうして、課税価格から、登録免許税率をかけて計算された数字から、100円未満の額を切り捨てにします。

 こうして計算された価格が、「登録免許税」となります。

3 登録免許税免除の可能性を検討する

 登録免許税については、一定の条件を満たせば納める必要がなくなる場合があります。

 ⑴ まず、土地を相続した人が、相続登記をしないまま亡くなった場合、その相続については、登録免許税はかかりません(登記をしないまま亡くなった人の相続では、登録免許税はかかります。)。

 例えば、Aという人が亡くなりBが相続したが、Bが相続登記をする前に亡くなり、その土地をCが相続したような場合はAからBへの相続については、登録免許税がかからないということです。

 ⑵ 次に、相続登記をする不動産の「課税価格」が100万円以下の場合も登録免許税はかかりません。

 ⑶ そして、相続登記をする不動産の表題部所有者の相続人が受ける所有権の保存の登記については、登録免許税が課されません。

 参考リンク:千葉地方法務局・相続登記の免税措置について

4 登録免許税免除についての注意点

 ただし、上記の免税の特例は、平成30年(2018年)4月1日から令和7年(2025年)3月31日までの間に受ける登記について適用されるという制限があります。

 また、この制度の適用を受けるためには登記申請書にその適用を受ける不動産の表示等において、「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」のように根拠となる条文を明示しなければ、適用を受けることができません。

 このような制度は、必要に応じ、提供期間が延長になったり、条件が変更になったりするので、常に最新の情報を収集するように気を付けなければなりません。

最新の情報についてご自身で調べられる場合は、法務局のホームページなどで調べることができます。

 参考リンク:法務局・相続登記の登録免許税の免税措置について

 ただし、登録免許税の計算は、間違いやすく、制度について正しい理解がない場合は、受けることのできる免税等の制度が受けられないということもありますので、一度弁護士などの専門家にご相談されることをおすすめします。

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